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誰でも簡単に始められる、日本刀鑑賞という趣味

居合の達人が真剣を使用して巻き藁を斬っているのをテレビなどで見かけた方も多くいるのではないでしょうか?そこから日本刀の所持には免許のようなものが必要なのではと思い込む方もいるかもしれません。 しかしそんなことはなく、日本刀は誰でも簡単に所有出来るのです。

日本刀とは

日本刀は日本独自の鍛冶製法にて製作された刀類の総称です。
平安時代後期、武家の勢力が増大しこれに伴い太刀が発達しました。一般的にこれ以降の時代の、反りがあり刀身の片側に刃があるものを日本刀と定義しています。
刀身の長さにより、刀、脇差、短刀にそれぞれ分類されます。

日本刀の所持には特別な許可が必要?

日本は世界に類を見ない程に銃器や刀剣に対して厳しい規制を設けているといわれています。
例えば猟銃ですが、当然免許が必要です。免許取得から猟銃所持までの道のりは険しく、警察官との面談や身辺調査などが行われます。
昨今の刃物を使用した凶悪犯罪の影響によって、刀剣類のみならず日常生活で必要となりうる刃物類にまで厳しい目が向けられているのが現状です。
この様な状況下なので、多くの方が日本刀の所持には猟銃のように免許が必要で、何か特別な許可が必要であると勘違いしています。許可は必要ありません、免許の取得も必要なければ警察による調査も基本的には行われません。
日本刀の所持は登録制になっており、「銃砲刀剣類登録」が必要となります。

銃砲刀剣類登録とは

銃砲刀剣類登録とは、銃砲刀剣類所持取締法(いわゆる銃刀法)第14条の規定により美術品または骨董品として価値がある古式銃、美術品として価値がある刀剣類を各都道府県教育委員会が登録する手続きです。
日本国内で売買可能な日本刀には必ず教育委員会の審査を受け、それに合格した後に発行される「銃砲刀剣類登録証」が付属しています。この登録証が付属していない日本刀は売買出来ません。当然、それを知っていながら未登録の日本刀を所持することも違法です。

日本刀を購入した場合

日本刀を購入した場合、購入から20日以内に名義変更が必要となります。
名義変更は簡単です。登録証が発行された都道府県の教育委員会に「所有者変更届出書」と登録証のコピーを送付するだけです。
所有者変更届出書は各都道府県のホームページにてダウンロード可能です。
それを印刷し、必要事項を記入してください。旧所有者の情報を記入する欄がありますが、分からない場合は空欄でも問題ありません。
書類を送付しても名義変更が完了したという連絡はありません。不安になるかも知れませんが、名義変更は正常に完了しています。

未登録の日本刀を発見した場合

祖父の遺品整理や古民家の解体、または蔵の整理などで未登録の日本刀が発見される事は多々あります。それらの日本刀をそのまま所持することは出来ません。
未登録の日本刀を発見した場合は、発見した場所を管轄する警察の生活安全課に連絡しましょう。
この時、日本刀を発見したままの状態で連絡をしてください。銃刀法違反に問われる場合があります。発見届けは世帯主または家族の方が行います。第3者による発見届けは出来ませんので注意してください。
手続きが済むと「刀剣類発見届出済証」が交付されます。
日本刀と刀剣類発見届出済証を持ち帰ることが出来ますが、この時点では一時的な所有が認められただけですので研ぎに出したり売買することは出来ません。

後日、お住まいの都道府県の教育委員会から登録審査会のお知らせが届きます。
審査会場へは日本刀と警察署にて交付された刀剣類発見届出済証、印鑑と登録料6,300円を持参しましょう。なお、発見届けとは違いこちらに関しては委任状を用意すれば第3者でも行えます。
登録審査では刀身の長さや反り、目釘孔の数、銘などの確認が行われます。
審査に合格すると銃砲刀剣類登録証が交付されます。
この時点でようやく正式な所有が認められ、売買などが可能となります。

登録が出来ない刀

見た目は日本刀と差がないものの、銃砲刀剣類登録を受けられない刀もあります。それは主に第二次大戦中に量産された軍刀です。
現在、日本刀は美術品と定義され、教育委員会による登録を行い所有することが出来ます。
美術品である日本刀の定義とは伝統的な制作方法により鍛錬され、焼入れを施したものとしています。伝統的な製作方法というのは玉鋼を用いて折り返し鍛錬を行い、皮・心鉄構造の新々刀の製法のことを言います。
大戦中に量産された軍刀は工業刀と呼ばれ、上記の製法で製作されていない為、原則として登録出来ないことになっています。
しかし、もし発見した刀の拵え(こしらえ:刀身を除いた外装のこと)が軍刀の物だったとしても早合点してはいけません。軍刀拵えでも刀身は日本刀の物もあります。

日本刀を救うための苦肉の策

終戦後、GHQによる占領政策によって多くの刀が没収・廃棄されました。このままでは日本刀の文化が絶たれてしまうと危惧した当時の人達は日本刀を武器ではなく美術品と定義し、この流れをかろうじて食い止めることが出来ました。この時に苦肉の策として講じられた美術刀剣の定義が先述の定義でした。

美術刀剣として定義される伝統的な製法というのは新々刀と呼ばれる江戸時代後期の製法です。平安、鎌倉、室町時代の製法に関しては文献が残っておらず正確には判明していません。しかしそれらの時代の刀も多く登録されています。
結局の所、発見された刀が美術品と認められるかは登録審査会の審査員の裁量にもよるのです。
その為、原則認められないはずの工業刀も登録を受けた物が少数流通しています。

興亜一心刀や群水刀といった工業刀はかつて価値の無い粗悪刀と評価されていましたが、現在はインターネットの普及により国内外の研究家によって正しい研究と再評価の動きが進んでいます。工業刀は美術的な価値というよりは、歴史的な価値が認められてきているようです。その為、登録を受け流通している少数の工業刀の取引価格は高騰していると言われています。

日本刀の定義を見直す時期が迫っています

70年前と違い、日本刀の価値は日本国内のみならず世界で認知されています。日本刀の製作工程の一部を取り入れたナイフを製造している海外のナイフメーカーも存在していますし、製法を独学で学び、作刀している海外の方もいます。
かつての苦肉の策による日本刀の定義を見直し、日本で作られた様々な刀に対して美術的な面だけでなく歴史的な面も評価して行く必要があるように思います。

INTRODUCTION of THE WRITER

守屋空山
name. 守屋空山

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