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最強のギタリスト達の競演 Generation Axe〜 A Night of Guitars

世界最強のギタリスト集団、その名もGeneration Axeが来日した。ギターファンならばこれ以上は望めないくらいの豪華な顔ぶれのメンバーだ。主催であるスティーブ・ヴァイが、個性の違うギタリストを集めて競演したら面白いだろうと思いついたことから始まったというこの企画。メンバーや貴重な来日公演の様子を紹介しよう。

Generation Axeのメンバー達

スティーブ・ヴァイ

今回のGeneration Axeの仕掛け人。彼がギタリストたちを選んで声をかけ、それに呼応した残りの四人が彼のもとに集結した。
フランク・ザッパ門下生で、そのキャリアは華々しい。アルカトラズやデイビッド・リー・ロスバンドを経てホワイトスネイクに参加。ソロ作品も積極的に発表し1990年発表のインストゥルメンタル・アルバムの『Passion and Warfar』は全米18位、全英8位の大ヒットを記録した。ホワイトスネイク脱退後からはソロ活動に専念。1993年にはグラミー賞最優秀ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞を受賞。
ソロ活動の傍らでオジー・オズボーンとの共作に参加したり、映画に出演したりと幅広い活動を展開している。
2000年代に入ってからは自身のレーベルを設立し、オーケストラとの共演やクラシックギターとエレクトリックギターのデュアル曲を発表したりとロックというジャンルにとどまらない新しい試みを勢力的に行っている。
彼の音楽性は非常に高く、ロックギターのフレーズにおいてはあまり使用されないリディアンスケールやミクソリディアンスケールなどを多用し、彼の特徴的なフレーズを創り出している。Ibanez社の数種あるスティーブ・ヴァイ シグネチャーモデル『JEM』をメインギターに使用する。

イングヴェイ・マルムスティーン

フェンダー・ストラトキャスターとマーシャルアンプをこよなく愛すロックギターの王者。
ステージ上でギターを燃やしたり、投げたりするパフォーマンスで有名だが、彼の真骨頂は超高速の速弾きとインプロヴィゼーションにおけるフレージングである。
クラシック音楽、特にバッハやパガニーニを敬愛する彼のクラシカルなフレーズは彼の代名詞とも言える。
アルカトラズを脱退してからはソロ名義で活動、来日公演は100回以上行っている。

ザック・ワイルド

オジー・オズボーンに見出されたギタリスト。現在はその名の通り非常に男らしくワイルドな風貌だがデビュー当時はアイドル的な美少年であった。
オジー・オズボーンバンドを経てソロ名義で活動。ビールを愛飲し、自身のバンド『ブラック・レーベル・ソサエアティ』の名は大好きなサッポロビールの黒ラベルから取ったということである。しかし2009年血栓症を患ってからは完全に禁酒している。
豪快なペンタトニックスケールのフルピッキングソロや随所に見られるピッキング・ハーモニクス、チキン・ピッキングを用いたフレーズが彼のトレードマークである。
ギブソン・レスポールカスタムを長年愛用していたが2015年頃よりシェクターによる自身のブランド『Wylde Audio』を使用している。

ヌーノ・ベッテンコート

全米No.1ヒット曲『More Than Words』を持つバンド、エクストリームのギタリスト。
類まれなるリズム感を持ち、多くの楽曲に16ビートのファンクのリズムが取り入れられている。ヌーノのこのリズムセンスがエクストリームが同時期にデビューした他のバンドと一線を画する要因とも言える。
高い音楽性やギターテクニックを買われ、セッションアーティストとしてジャネット・ジャクソンやリアーナとも活動していた。
エクストリームが一時解散していた時にはソロ作品を発表、ドラムやヴォーカル、キーボードなど全て自分一人でこなすマルチアーティストぶりを発揮した。
ギターはWashbone製の自身のシグネチャーモデル『N4』を長年愛用。ピックアップはフロントにダンカン製'59 SH-1、リアにはビル・ローレンスL-500を搭載。ほとんどフロントは使用しない。リアのビル・ローレンスのサウンドがヌーノサウンドと言えるだろう。

トーシン・アバシ

インストゥルメンタルバンド、Animals As Leaders のギタリスト。
8弦ギターを自由自在に操る新世代のギタリストだ。
変速リズムを多用し、プログレッシブやジャズ、EDMまで様々な要素を取り入れた彼の楽曲は一度聞いたら忘れられないほどのインパクトを放っている。
高速スゥイープや特徴のある幻想的なコードワークに定評がある。
Ibanez社から彼のシグネチャーモデルが発売されている。

2017年4月4日 Zeppなんばにて

2016年に行われた北米ツアーはメンバーの顔ぶれやセットリストの豪華さから大きな話題を呼び、大好評の内に終了した。
2017年1月、ファン待望のジャパンツアーがアナウンスされ、4月3日名古屋、4月4日大阪、4月6、7日東京の3都市で公演が行われた。
今回は4月4日の大阪公演の様子をレポートする。

トップバッターはトーシン・アバシ

開演時間の19:00、ほぼ定刻通りに公演スタート。前日の名古屋公演では30分程度押したという情報や、必ずと言っていいほど遅れて現れるというヌーノがメンバーにいることから開演遅れは覚悟していただけに定時にスタートは予想外の嬉しさだった。まずは5人全員が現れてジャム。この時点でもうこの贅沢なメンバーが目の前に揃っていることに胸が熱くなる。
そしてスティーブによって
『トーシン・アバーシ!』とコールされ、トーシンを残して4人は舞台を去る。まずはトップバッター、若きトーシンのセットだ。
8弦ギターを難なく自在に操るトーシンの弦さばきに観客は引き付けられる。まるでベースギターのような太いネックでもコードワークは完璧だ。自身のバンドの曲を次々と披露するが、その多くがリズムに乗ることが難しいほどの変拍子に圧倒される。まだ30代前半のトーシン、これからさらにどんな進化を見せてくれるのか、とても楽しみである。
トーシンがヌーノをコールする。

ヌーノ・ベッテンコート登場

大歓声で迎えられるヌーノ。男前なヌーノ、女性の黄色い声もチラホラ。
トーシンのバンド、Animals As Leadersの曲『Physical Education』をヌーノとトーシンによって演奏。細かいコード刻みがあり、かなりのリズム感を必要とされる曲だが、二人の息はピッタリだ。演奏後抜群のリズム感を持つヌーノに「この曲はすっごく難しい!」と言わせるトーシンは末恐ろしいと感じた。
トーシンが退場してヌーノのセットへ。エクストリームのおなじみの曲『Get The Funk Out』を弾きながら歌うヌーノ。よくもまあ、そんなに細かくて難しいギターリフを弾きながら思いっきり歌えるものだと呆れてしまう。また声が低くて渋い。だがこれからが彼の本領発揮だ。
アコースティックギターに持ち替えて大ヒットバラードナンバー『More Than Words』のイントロを爪弾くと観客からは大歓声が。しかしほんの2小節くらいでストップ。「なーんてね。今日はギター・ナイトだぜ。こんなのだめだよ!」なんて彼らしい軽口で笑わせたあと超絶テクニックの『Midnight Express』を披露。アコースティックギターのイメージを覆すシャープなフレージング。速弾きなのに押弦はとても確実で美しく弦が鳴っている。
その後はまたエレクトリックギターに持ち替え、エクストリームの代表的な曲のメドレーに突入。どの曲もファンクなノリと独特のリフで観客を圧倒。
そして、ヌーノのコールで現れるザック。

そしてザック・ワイルドへ

その身体の大きさからか、まるでギターがウクレレかのように小さく感じる。そのままヌーノと一緒に演奏したCitizen Copeの『Sideways』がまた絶品だ。二人共本業はギタリストのはずだが、ソロではヴォーカルをとるとは言えシンガー顔負けのうまさだ。二人で競うように奏でるエモーショナルなギターもたまらない。この一曲だけでも来た価値はある、と感じさせられた。
そしてザックだ。Black Sabbathの『N.I.B』で観客を一気に引きつける。ジミ・ヘンドリックスの『Little Wing』の途中で客席に降り観客の間近でソロを披露。長い金髪を振り乱しながら腰を落として演奏するスタイルは昔から少しも変わっていない。ザックらしさ全開の豪快なペンタトニックのフルピッキングの連発に観客は大満足だ。Allman Brothers Bandの『Whipping Post』で締めたら、さあ、いよいよスティーブの登場だ。

ついにスティーブ・ヴァイ現れる

『Bad Horsie』のリフがはじまると意外な選曲に観客は大歓声。フレットマークのLEDが青く光り、ミラーフィニッシュのギターのボディがライトを反射する。一瞬でスティーブ・ヴァイの世界へ誘われる。『Racing The World』を経て名曲『Tender Surrender』へ。どの曲でもそうだが、ギターがスティーブの感情を表しているようにスティーブの呼吸、表情、動きに呼応する。異次元のテクニックとスティーブの感受性、それらがスティーブのギターフレーズを創り出している。ザックやヌーノのようにヴォーカルをとる曲は一つもないのに観客を惹きつけて離さない。もう一曲披露してから、スティーブは高らかにコールする。
『イングヴェイ・J・マルムスティーン!!』

トリはイングヴェイ・マルムスティーン

いよいよ真打ちイングヴェイの登場だ。突如大量にたかれるスモーク。ドラムやアンプが見えないほどだ。
代名詞のクリーム色のストラトキャスターを手に現れるイングヴェイ。威風堂々としたその登場はまさしく王者の名にふさわしい。さっそく超高速フレーズを披露したが、機材のトラブルからか音が途切れる。顔をこわばらせながらも『Spellbound』を弾き終えるとギターを取り替えて次の曲へ。しかしまた同じトラブル。形相の変わる王者だが何とか弾き続け、またギターをチェンジ。しかしそれでもトラブルは続き、ついに曲を止め下がってしまった。よもやこのまま終了かとも思ったがすぐに再登場、気を取り直して爆音で代表曲を連発。まるでバイオリンの演奏かと思うようなクラシカルなフレーズは彼の真骨頂だ。パガニーニのアダージョまで披露、圧巻のフィンガリングを見せつける。ギターを投げるパフォーマンスも相変わらず健在だ。
『Black Star』の途中からスティーブが参加。この上ない豪華な組み合わせのジャムだ。そしてイングヴェイが去り、スティーブがヌーノ、ザック、トーシンをコール。

『フランケンシュタイン』

イングヴェイ以外の4人でのThe Edger Winter Groupの『フランケンシュタイン』。迫力は半端じゃない。ヌーノとザック、スティーブそれぞれのサウンドが全く違うのに違和感は感じない。トーシンは少し遠慮気味なのか、ちょっとおとなしめの演奏だ。スティーブにもっと前に来いと手招きされている。競うようにチョーキングを決める姿がこれはギターヒーローの集まりだと実感させる。
ひときわ大きな声でスティーブがイングヴェイをコール。駆けてくるイングヴェイ、全員揃って最後のディープ・パープル『Highway Star』の始まりだ。

フィナーレは5人勢揃いの『Highway Star』

ロックギターをはじめた者なら誰でも通る道であろう『Highway Star』をこの五人が演奏することに感動を禁じ得ない。彼らもまだ若い頃にはこの曲をコピーし、ディープ・パープルに憧れたギター少年だったのだ。ここに集まっているギターファンと同じだったのだ。
音数が多くものすごい迫力だが、それぞれのサウンドの個性がはっきりとしていて簡単に聞き分けることができる。なめらかに奏でるトーシン、リズムの切れが良いヌーノ、強いピッキングが印象的なザック、飛び抜けてクリアなトーンのスティーブ、風格漂うフレージングのイングヴェイ。
個性がぶつかり合いながらも完全に一体になった5人も、笑顔が溢れ楽しそうだ。彼らもまた、観客と同じようにこの時が永遠に続けば、と思っていたのかもしれない。

トップギタリストが集った夢のような夜。同じ空間で同じ時を過ごせたこの幸運に感謝したい。

INTRODUCTION of THE WRITER

紫水晶
name. 紫水晶

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