HOLISTIC STYLE BOOK 富裕層向けメディアサイト

希少なタクシー「コンフォート GT-Z スーパーチャージャー」

2017.06.06

日本のタクシーや教習車で使用される、誰もが容易に思い浮かべることが出来るフォルムの車、コンフォート。 そのコンフォートにかつて期間限定で販売された特別仕様車が存在しているのをご存知でしょうか? 今回はトヨタ・コンフォートの特別仕様車「コンフォート GT-Z スーパーチャージャー」を紹介します。

トヨタのタクシー

コンフォートはタクシーや教習車として使用されることを前提に開発されたトヨタのセダンタイプ商用車です。1995年12月に日産・クルーの対抗馬として発売されました。
日本国内在住の方であれば、一度は触れたことがあるかと思います。

1955年にタクシー専用車両として発売された「トヨペット・マスター」がコンフォートの原点とされています。しかしトヨペット・マスター自体は販売が振るわず、1956年に販売終了となってしまいました。

2009年に対抗馬である日産・クルーが、2014年に同じく日産のセドリック営業車が生産を終了した為、新車購入可能なセダンタイプのタクシー専用車はコンフォートとその姉妹車であるクラウンコンフォートのみとなりました。
そしてコンフォート自体も国の安全基準引き上げにより2017年で生産を終了するようです。

羊の皮を被った狼

2003年7月、トヨタ自動車グループの一社であるトヨタテクノクラフトがスポーツとは無縁なコンフォートにスポーティなチューニングを施したコンプリートカーを同年11月までの期間限定、受注生産にて販売した。
それが「コンフォート GT-Z スーパーチャージャー」である。

受注生産であったことと、ベースとなる車両がコンフォートという斜め上を行くような代物だった為か試作品を含め60台しか生産されていない。まさに幻の車です。

教習車用のコンフォート(SXS13Y)をベースに使用し、小倉クラッチ製スーパーチャージャーを用いることにより最大0.3kgf/cm2の過給圧で出力160PS/6100rpm、トルク22.5kgm/3300rpmを発揮する。
外装にはフロントエアロバンパー、ブラックアウトされたFRP製リアスポイラー、専用マフラーのほか、ワタナベ製アルミホイールを装備。さらに専用のスポーツサスペンションは、前後共に減衰力4段階調整式となっておりトヨタテクノクラフトの拘り様が見て取れます。
全体的に80年代のスポーツセダン風に仕上がっており、「渋い」の一言に尽きます。

仕様

ベース車両

型式:TA-SXS13Y
重量:1320kg
最小回転半径:4.9m

エンジン

小倉クラッチ製ルーツブロワー式スーパーチャージャーTX07搭載3S-FEエンジン
出力:160PS/6100rpm
トルク:22.5kgm/3300rpm
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
総排気量:1998cc
駆動方式:後輪駆動

寸法

全長:4590mm
全幅:1690mm
全高:1480mm
ホイールベース:2680mm

オプション装備

フロントフォグランプ
ワイヤレスドアロック
大森メーター製3連メーター(ブースト・油温・油圧)
TRD強化クラッチ
TRDセレクティブLSD または ゼクセル製トルセンLSD
TRDスポーツステアリング
TRDスポーツシフトノブ
TRDスポーツシート(運転席・助手席)

現存する個体は?手に入れるチャンスはあるの?

コンフォート GT-Z スーパーチャージャーは期間限定でしかも受注生産での販売でした。
さらにベース車両がスポーツとは無縁な商用車だった為、需要があまりにもニッチでした。
そのため生産されたのは試作車両1台と市販車両59台の計60台だけです。

筆者が調べたところ市販車両59台の内2台は廃車、1台はオリジナルパーツを廃棄した改造車でした。
つまり現存するオリジナル状態の車両は2017年現在で56台ということです。さらに56台全てが出荷時の状態とは限りません。オーナーの手によって内装等に若干の変更が加えられている個体もあるでしょう。
結論を言ってしまうと、完全オリジナル状態の個体を入手するのは非常に困難です。

中古車市場を根気強く見回していればチャンスに巡り合えるでしょう。
現オーナーとコンタクトを取って交渉してみるのも一つの手かもしれません。

番外編!これぞ元祖「ドリフトタクシー」

「直列4気筒エンジンのFR車」というフレーズを聞くと、ドリフトが頭に浮かぶ方もいるかと思います。
コンフォートもまさにこのフレーズに合致する車両です。ドリ車にしないわけにはいきません。
2004年にチューニングショップOKUYAMAの手によって、教習車をベースにコンフォートのドリ車が製作されました。
エンジンを3S-GTEに換装、ガルウィングドアを装着するなどして各イベントで走行されました。
その後2006年にD1GPに出場すべく再度OKUYAMAの手により規定に合わせた大改造を施し、2006D1GPの国内ラウンドに参戦しました。

車のカスタマイズに無限の可能性を見出せる一台

今回はコンフォート GT-Z スーパーチャージャーを紹介しました。
トヨタ・コンフォートは専ら商用車として開発された車です。モータースポーツとは無縁なはずの商用車でも、カスタマイズ次第ではスポーツカーに変身してしまいます。
車のカスタマイズには、もはや車の開発コンセプトなんて関係ない。
そんな無限の可能性がこの車からは感じ取れました。

INTRODUCTION of THE WRITER

守屋空山
name. 守屋空山

RELATED

日本のタクシーや教習車で使用される、誰もが容易に思い浮かべることが出来るフォルムの車、コンフォート。 そのコンフォートにかつて期間限定で販売された特別仕様車が存在しているのをご存知でしょうか? 今回はトヨタ・コンフォートの特別仕様車「コンフォート GT-Z スーパーチャージャー」を紹介します。