落とした照明と温もりある木のカウンター。マスターの穏やかな物腰と美酒。「オーセンティックバー」。日常に忙殺される人が求める癒しの空間がそこにはあります。ルーティンな日常をリセットできる、とっておきのオーセンティックバーをご紹介いたします。
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オーセンティックバーとは
正統派・格式のあるバーのスタイルを指します
オーセンティック(Authentic)という言葉には、「本物の」または「信頼のおける」といった意味があります。つまりオーセンティックバーとは、正統派の、あるいは格式のあるスタイルのバーを指します。
この言葉の定義にも曖昧なところがあるのですが、共通している特徴というと、照明が落とされていて重厚な雰囲気、静かに落ち着いてお酒を愉しめるような雰囲気があります。また、折り目正しくてこだわりを持った腕の確かなバーテンダーがいることと美しいバックバー(カウンターの向こうに酒瓶がずらっと並んだ棚)があることの2つの要素は、オーセンティックバーと切り離せない存在です。
とっておきのオーセンティックバー3選
OAK(東京駅)
東京ステーションホテルの2Fにあり、駅舎創業150年の歴史を受け継ぐバー。創建当時の赤レンガが内装に使われ、シックで落ち着いた重厚な雰囲気です。伝説のバーテンダー、杉本壽氏の考案によるカクテル「東京駅」はジン・ベースで美しい琥珀色。運がよければ巨匠の手による一杯を頂けるかもしれません。
店舗情報はこちら
http://www.tokyostationhotel.jp/restaurants/oak/
早い時間帯には窓から夕暮れ時の丸の内が望めます。美酒を嗜みながらの美しい風景はプライスレス。
伝説のバーテンダー・杉本氏によるカクテル「東京駅」。琥珀色が美しい。
ルパン(銀座)
昭和3年開店のバー。永井荷風、泉鏡花、菊池寛、川端康成、太宰治、坂口安吾などの作家に愛されました。また芸術家の安井曾太郎や岡本太郎、演劇界の小山内薫や宇野重吉などもこの店の常連だったそうです。
昔の純文学の小説でしばしば目にする「カフェー」という言葉。開店当時はこの店も「カフェー」として営業しました。それは女給のサービスでお酒を飲ませる洋風のスタイルで、現在のようなバーに変わったのは昭和11年のことだそうです。
戦後は文壇・画壇・演劇界に加え、医学界・経済界にもファンの多いバーとなっているようです。
店舗情報はこちら
http://www.lupin.co.jp/
銀座の路地裏に佇む店は怪盗ルパンの看板が目印。
古びた階段の先にはどんな空間が待っているのでしょう?気分が上がります。
毛利バー(銀座)
数多くの弟子を持つバーテンダー・毛利隆雄氏が営む店。数多くの一流バーテンダーがこの店で修行して独立しています。創業は1997年と古くはありませんが、毛利氏の人柄と腕とによって銀座の顔ともいわれるほどの有名店となりました。
ここに来たら是非味わいたいのが毛利氏独自の作り方による、他では味わえないマティーニ。
店舗情報はこちら
https://bar-navi.suntory.co.jp/shop/0335730610/
外看板には「毛利」のみ。敷居が高そうに見えますが、「日本一敷居の低いバー」と氏が謙遜するように、店内は堅苦しくない雰囲気。
氏が独自の製法で作るマティーニはファンも多く、伝説的存在。
オーセンティックな空間で美酒を嗜む
時には煩雑な日常を忘れて美酒に酔いしれたい、そんな時に訪れたいのはオーセンティックバー。それぞれのお店が持つストーリーを知ることもまた、楽しいものです。

- name. 高城みれい
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