”ニットの魔術師”と呼ばれるイタリアを代表するブランドのミッソーニ (Missoni)。ハイエンドなニットウエアが世界的に有名な老舗ブランドです。色彩豊かな、オリジナルの幾何学模様をアイコニックとするニットウエアが、世界的に大ヒットし、ニットウエアをトレンドアイテムへと押し上げた立役者です。イタリアブランドらしい、鮮やかなニットウエアは、イタリアを中心に、ヨーロッパの富裕層の間で話題となり、ミッソーニは、セレブレティ御用達のニットウエアブランドとして揺ぎ無い地位を獲得します。ミッソーニの手掛ける芸術的なニットウエアは、”着る事のできる絵画”とも称され、それまでカジュアルなイメージが強かったニットウエアのステータスを向上させたパイオニアです。セレブ御用達のニット裏ブランドのミッソーニは、現在、創立者の娘である、アンジェラ・ミッソーニがブランドを牽引しています。ニットのステータスを向上させた老舗イタリアブランドのミッソーニに迫ります。
Contents / 目次
ミッソーニ (Missoni)ニットの魔術師が起こした革命
ニットウエアのステータスを向上させたパイオニア
ハイエンドなニットウエアを手掛けるブランドとして、世界的に有名なミッソーニ (Missoni)。色彩豊かな、幾何学模様をイメージしたパターンのニットをアイコニックとする、イタリアを代表するラグジュアリーブランドです。
60年以上の歴史誇るミッソーニは、現在ではコレクションを行う、ラグジュアリーブランドとして、確固たる地位を築いています。
ハイエンドなワードローブで、セレブレティを魅了する、ミッソーニですが、やはりミッソーニの十八番はハイエンドなニットウエアです。
ミッソーニのニットウエアの評価は著しく高く、高度な技工により完成するハイエンドなニットは、セレブレティのステータスシンボルとしても広く知られています。
一目でミッソーニだと分かる、鮮やかな幾何学模様のニットは、1960年代後半に爆発的な大ヒットを記録します。
ラグジュアリーで、何処となくオリエンタルなエッセンスが漂う、ミッソーニのオリジナルパターンは、イタリアを中心にヨーロッパの富裕層の間で話題となり、アメリカの資産家や、ハリウッドセレブがこぞって愛用するようになります。
フォーマルウエアとしてのニットのステータス
ミッソーニの色鮮やかな、オリジナルの幾何学模様は、当時、模造品が出回るほどの人気を博します。ミッソーニのニットウエアが爆発的なヒットを記録する、1960年代以前は、ニットウエアは、カジュアルなイメージの強いワードローブでした。
勿論、ニッソー二より遥かに長い歴史を持つ、ニットブランドはヨーロッパには、かなりの数、存在します。
長い歴史を持ち、上質なニットウエアを生産する、ブランドも、あくまで、防寒着や、インナーとしてのニットウエアをメインに製造販売していました。
ミッソーニが芸術性の高い、ニットウエアを発表した事により、ニットウエアの価値が向上し、デイリーウエアから、フォーマルにも対応できるアイテムへとステータスが向上しました。
今では当たり前のニットドレスも、ミッソーニがパイオニアです。ミッソーニの十八番である、カラフルな幾何学模様のニットドレスを、ハリウッドセレブが、レッドカーペットの上で着用し、話題となり、ニットドレスがフォーマルウエアとして認知されました。
リラックスしたホームウエアから、フォーマルウエアとしても活躍してくれる、現在のニットウエアの汎用性の高さと、価値観は、ミッソーニが創り上げたと言っても過言ではありません。
ニットウエアをステータスシンボルに昇華させたレジェンドブランド
ハイエンドなニットを手掛け続けるミッソーニは、現在でも、セレブ御用達のニットウエアを中心に、ハイエンドでリュクスなプロダクトを毎シーズンリリースし続けています。
ニットの可能性を追求し、ニットのステータスを向上させた、”ニットの魔術師”と称され、イタリアのハイエンドニットブランドのミッソーニ。
セレブレティのステータスシンボルを作り続ける、老舗ブランドに迫ります。
ミッソーニ (Missoni)とは?
1953年に設立されたイタリアブランド
ミッソーニ (Missoni)は、1953年にオッタヴィオ・ミッソーニとロジータ・ミッソーニ夫妻により、イタリア、スミラーゴで創立されます。
夫のオッタビオは、1948年のロンドンオリンピックに出場している、元陸上選手で、イタリア選手団のユニフォームのデザインを行っていた、ロジータ・ミッソーニと出会い、結婚します。
オッタヴィオ・ミッソーニの祖父が、経営していた、ニット工場を引き継いだ事がきっかけとなりミッソーニがスタートします。
しかし当初は、ニット素材を使用した、スポーツウエアを生産するメーカーでしたが、思うように、経営が伸びず、コンセプトを一新します。
カラフルな幾何学模様をイメージしたニットウエアを生産し発表した事で、ミッソーニは一躍注目を集めます。
元々高い技術を持つ、ニット職人が手掛けるミッソーニのニットのクオリティは高く、ハイエンドなニットウエアに、アグレッシブルともいえる、色彩豊かな、幾何学模様が当時のファションセレブを大いに刺激しました。
1960年代は、カラフルで、個性的なニットウエアが、殆ど存在していなかった事もあり、ミッソーニのニットウエアは大ヒットを記録します。
この時から、カラフルで複雑な編み込みを得意とする、ニットブランドとして、ミッソーニは、セレブレティの間へと浸透します。
1966年にミラノコレクションデビュー
セレブレティ御用達ニットブランドとして更に加速する、1966年に、ミッソーニはミラノコレクションデビューを飾ります。
コレクションは看板のニットウエアと共に、複雑なパターンと、得意のカラフルなマテリアルを使用したドレスを発表し、プレタポルテブランドとしても、高い評価を得ます。
コレクションを発表した事で、ミッソーニのハイエンドな、ニットウエアと、ブランド名は、より多くのメディアや、ファションセレブの目に触れる事となり、ブランドは急速に飛躍します。
1973年にはファション界のオスカーとも称される、ニーマン・マーカス賞を受賞、1983年には、イタリアオペラ界の最高峰である、スカラ座からの依頼により、舞台衣装手掛けます。
色彩の魔術師と称される大胆且つ、繊細な色使い
ニットウエアを発表し、瞬く間に、イタリアを代表するラグジュアリーブランドへと上り詰めた、ミッソーニの最大の魅力は大胆でありながら繊細な色彩感覚です。
”絵画のようなニットウエア”と称される、ミッソーニのガーメントは、ロジータ・ミッソーニの豊かな感性により支えられてきました。ロジータ・ミッソーニは風景や、コンテンポラリーアートから色彩のインスピレーションを受ける事が多いと、インタビューで答えています。
高度な技術により誕生したアイコニックの幾何学模様のニット
彼女の研ぎ澄まされた感性と、様々な、インスピレーションとの調和が、ミッソーニの美しく、独特の色彩を生んでいます。
更に、ミッソーニの看板でもある、幾何学模様をニットで表現したブランドは、ミッソーニが元祖です。
多色編み込みや、幾何学模様をニットに編みこむ事は、かなり高い技術が必要とされるため、当時は難しいとされていました。
それ以前に、カジュアルウエアや、ホームウエアであるニットに、高度な技術は必要ないという風潮も、当時はあったようです。
この、ニット界の常識を覆したブランドが、ミッソーニです。カラフルな幾何学模様をニットウエアで表現した、ミッソーニは、ニットの可能性を広げた開拓者でもあります。
ニットで色鮮やかなパターンを表現できる事を、ミッソーニが発表し、ニットはトレンドアイテムや、フォーマルアイテムへと昇華しました。
”ニットの魔術師”であり、”色彩の魔術師”であるミッソーニは、ニットウエアで、新たなファッション常識を築き上げたブランドです。
1997年に創立者のオクタヴィオ、ロジータ引退
偉大なニットウエアブランドを創立した、オクタヴィオ、ロジータは、1997年に引退を発表し、経営を、息子である、ヴィットリオに託しました。
そして娘のアンジェラが、クリエイティブディレクターとしてブランドを牽引しています。
アンジェラは、注目のラグジュアリーストリートブランドとのコラボレーションにより、新たなミッソーニを発表し、ファッションメディアに大きくピックアップされました。
注目ブランドとのコラボレーションの影響もあり、ミッソーニは現在、ヤングセレブレティからも高い評価を得ています。
ミッソーニ (Missoni)のデザイナー、アンジェラ・ミッソーニ(Angela Missoni)
1958年生まれのデザイナー
現在のミッソーニを率いるクリエイティブディレクターは、創立者である、オクタヴィオ・ミッソーニとロジータ・ミッソーニの娘である、アンジェラ・ミッソーニ(Angela Missoni)です。
アンジェラは、1958年にイタリアのミラノで、オクタヴィオ・ミッソーニとロジータ・ミッソーニの長女として生まれます。
20歳になる1978年に母親である、ロジータ・ミッソーニのアシスタントとして、ミッソーニへ入社します。ミッソーニのライセンスアイテムのスーパーバイザーを務めながら、ファーストラインに携わります。
1993年にアンジェラ・ミッソーニをローンチ
1993年に自身のブランドである、”アンジェラ・ミッソーニ”をローンチします。1997年にミッソーニのレディースラインのクリエイティブディレクターに就任するまで、ブランドを継続します。
1998年春夏コレクションで、ミッソーニのクリエイティブディレクターとしてデビューを飾った、アンジェラは、これまでの、カラフルな色使いはそのままに、よりフレッシュなワードローブを発表します。ミッソーニが、シースルーやラメを多用しだすのは、アンジェラがクリエイティブディレクターに就任して以降です。
更に、アンジェラは、より複雑なパターンのニットを発表し、ラグジュアリーニットブランドの元祖としての圧倒的なレベルの高さを証明しました。
2008年秋冬からメンズラインのクリエイティブディレクターに就任
アンジェラによるミッソーニの評価は著しく高く、2008年秋冬からは、兄であるルカに代わり、メンズラインのクリエイティブディレクターとしても活躍しています。
現在、ニッソー二のクリエイティブ面は、全て、アンジェラ・ミッソーニが統括しています。アンジェラは、広告の責任者として、ミッソーニに在籍していた時期もあり、ミッソーニのイメージ戦略に関しても長けており、写真家にマリオ・テスティーノ、アート・ディレクターにカリン・ロイトフェルドを起用した事も彼女の采配です。
二人のクリエイターにより、ミッソーニは、よりアーバンで、リュクスなイメージを発信する事に成功しました。
ミッソーニ (Missoni)がコラボレーションを行った注目ブランド
フランスを代表するラグジュアリーストリートブランドのピガール(PIGALLE)
フランスを代表する、ラグジュアリーストリートブランドである、ピガール(PIGALLE)とのコラボレーションは、かなり大きな話題となり、様々なファッションメディアで大きく取り上げられました。
今、ミッソーニが、ファッショニスタや、ヤングセレブレティから注目を集めている大きな要因に、ピガールとのコラボレーションがあることは間違いありません。
元バスケットボール選手であり、今最も注目すべきデザイナーであり、インフルエンサーの、ステファン・アシュプールが率いるピガールは、バスケットボールカルチャーを根幹に持つ、ブランドです。
ビッグトレンドである、ラグジュアリーストリートを牽引する。重要ブランドである、ピガールは、ファッションセレブ御用達ブランドとしても知られています。
元祖色の魔術師と、ニューカマーの色の使い手のコラボレーション
バスケットボールカルチャーや、ボックスロゴをアイコニックにする、ストーリート色の強いブランドと、老舗ラグジュアリーニットブランドのコラボレーションは一見意外に、感じますが、ピガールも、色彩豊かなワードローブを得意とするブランドです。
ピガールのコレクションでは、毎シーズンランウェイに、鮮やかなカラーパレットのワードローブが登場し、ファッションフリークを熱狂させています。
今回のコラボレーションは、元祖色の魔術師と、ニューカマーの色の使い手との共同制作であり、ファッションの新たな可能性を追求した、プロジェクトでもあったように感じます。
ピガールは、ミッソーニとのコラボレーションにより、確実にステータスは向上したように感じます。
ミッソーニのニットマテリアルをドッキングしたスポーツウエア
ピガールが得意とする、スーベニアジャケットやジョガーパンツ、Tシャツにキャップ、バックパックと言った、スポーティなアイテムに、ミッソーニのニットマテリアルをパッチワークのようにドッキングさせた、ワードローブは、正にラグジュアリーストリートウエアと呼ぶに相応しいアイテムばかりでした。
全体的にパープルを基調とした、ワードローブは、間違いなくカジュアルウエアではあるのですが、ノーブルな雰囲気を漂わせていました。
老舗イタリアブランドと、新生フランスブランドのコラボレーションは、予想以上に相性がよく、ファッションフリークの間では、争奪戦が繰り広げられました。
ステファン・アシュプールもロゴTシャツを着用
ピガールのデザイナーの、ステファン・アシュプール自身も、今回のコラボレーションを大変気に入っており、コラボレーションのワードローブを、頻繁に身に着けている姿が確認できました。
特に、コラボレーションTシャツは、ステファン・アシュプールが着用した事により、人気が過熱し、プレミアム価格で取引されるほどでした。
ピガールがブランドのステータスを向上させたのと同時に、ヤングセレブレティをミッソーニの顧客として囲い込む事に成功した、アンジェラ・ミッソーニ。
彼女はデザイナーとしても、時代の流れを見抜く、トレンドセッターとしても一流であることは間違いないようです。
ミッソーニ (Missoni)の2019年春夏コレクション
ツーリングによる冒険がテーマ
オフロードバイクをバックに行われた、2019年春夏のミッソーニのメンズコレクションは、得意とする鮮やかなニットに、鮮やかなカラーレザーを使用した、フレッシュで、ラグジュアリーな雰囲気が印象的でした。
鮮やかなボーダーニットや、市松模様のショートスリーブシャツは、ミッソーニらしいアイテムで、カラフルではあるのですが、どこか、クラシカルでノスタルジー配色が新鮮でした。
ブルーをベースとした、マドラスチェックのダブルブレステッドのスーツは、ドライな質感なのマテリアルにフィットするシルエットが、フレッシュさを強調していて、90年代のニューヨーカーや、ロンドンのヤングセレブレティのような雰囲気を醸し出しています。
ブルベースのマドラスチェックのアイテムは、スーツ以外にもトップスや、ショートパンツとして登場し、今回のミッソーニのフレッシュで、ノスタルジーが漂うコレクションのキーアイテムとなっています。
バイクに跨り、一人で旅をするイメージの今回のミッソーニのコレクションは、バイカーズスタイルには欠かせないレザーウエアも数多く登場しました。所謂タフなダブルライダースでなく、ヨーロピアンなイメージのバイカーズジャケットも、ミッソーニらしく、ブルーのクラシカルなバイカーズジャケットは、かなりエレガントです。
バイカーズジャケットに合わせた、マドラスチェックのショートパンツのバランスも絶妙で、ラフなショートパンツを、ボトムスとしてピックアップしているのですが、かなりリュクスに仕上がっています。
リュクスなカラーレザーパンツがノーブル
ボトムスもタフなバイカーズパンツのイメージはなく、レザーをマテリアルとして使用した、スラックスのような、リュクスなパンツが登場しました。ブルーや、グリーンなどのカラーレザーを使用したパンツは、贅沢な雰囲気が漂います。
印象的なルックは、鮮やかな黄色のレザーパンツに、グラデーションのルーズなニットを合わせた、スタイル。フレシュではあるんですが、クラシカルで、80年代のノーブルでバブリーな、ミッソーニを髣髴とさせました。
カラーレザーを使用したルーズなショートパンツも、今回のコレクションには欠かせないアイテムです。
上質なカラーレザーを使用したショートパンツが贅沢
カジュアルなイメージの強いショートタイプのイージーパンツを、上質なカラーレザーで仕上げるセンスは流石は老舗イタリアブランドのミッソーニです。
チョイスしたカラーもオレンジに、パープル、そしてブルーと鮮やかなカラーばかりで、ニット同様に、カラーレザーでも、色の魔術師としても本領を発揮していました。
バイクでの一人旅と聞くとハードで、ワイルドなレイヤードスタイルを連想してしまいますが、ミッソーニのツーリングスタイルは、優雅なバカンススタイルのようにリュクスです。
ミッソーニ流のツーリングスタイルは、ゆとりのある、ヤングセレブレティに似合う、ルックが目白押しでした。
ミッソーニ (Missoni)守るべきプライドと果敢なフロンティアスピリット
ラグジュアリーニットブランドとしてのプライドとスタンス
オッタヴィオ・ミッソーニとロジータ・ミッソーニ夫妻が、ミッソーニをローンチして、60年以上の年月が経ちます。
ホームウエアや、デイリーウエアでしかなかったニットを、ラグジュアリーでリュクスなアイテムへと昇華したブランドであるミッソーニは、ニットへ可能性に無限の可能性を与えました。
鮮やかで複雑なパターンのニットを発表し、ニットをトレンドアイテムとして、ファッションセレブに浸透させた、ミッソーニは、ラグジュアリーニットブランドのパイオニアです。
現在はコレクションを行う、トータルラグジュアリーブランドとしてのミッソーニを、娘のアンジェラが、牽引しています。
スタンスの異なるブランドとのコラボレーションも積極的に行う、アンジェラ・ミッソーニは、両親から引き継いだビッグブランドを更に、ブラッシュアップさせているように感じます。
しかし、あくまでも、色彩豊かなニットをアイコニックとするスタンスは、アンジェラ・ミッソーニがクリエイティブディレクターに就任した今も変わっていません。
老舗ファミリーブランドのクラシカルとアーバンの調和
鮮やかなラグジュアリーニットをアイコニックとし続けることは、ミッソーニのプライドであるようにも感じます。
伝統を守ることもブランドを引き継ぐ事と、同じほど重要であると、アンジェラは信じているからのような気がします。
ミッソーニが手掛けるワードローブからには、アーバンでありながら、ノスタルジーを感じるものが多いと称されます。クラシカルとアーバンスタイルの調和こそ、現在の、ミッソーニの最大の特徴であり、ファミリーブランドを引き継いだ、アンジェラの揺ぎ無いアティチュードにも感じます。
老舗ファミリーブランドのミッソーニを守りながらも、果敢に挑戦し続ける、アンジェラ・ミッソーニがクリエイティブディレクターでいる限り、ミッソーニの更なる飛躍は確実です。

- name. hansu719
- ショップバイヤー、スタイリストを経てフリーライター兼シンガーソングライターが生業です。ハイブランドからストリートstyleまでラグジュアリーな香りのするstyleが好みです。