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マンチェスターの人々の心を一つにした“Don't Look Back in Anger”

2017年5月22日、若い世代に人気の女性歌手アリアナ・グランテのコンサートが行われていたイギリスのマンチェスター・アリーナで自爆テロが発生した。 死者22名、負傷者120名以上という大惨事にイギリスは悲しみに包まれた。

マンチェスター・アリーナでの惨事

ディズニー実写版映画『美女と野獣』の主題歌を担当しているアメリカの若き歌姫、アリアナ・グランテ。ティーンなどの若い世代に絶大な人気を誇るアーティストだ。彼女のパフォーマンスを楽しむために当日マンチェスター・アリーナに集っていた多くのファンがテロに巻き込まれた。
コンサート終演後の余韻を楽しみながら帰路につく観客で溢れたエントランスロビー付近で、爆発が起こった。付近には殺傷力を高めるためだと思われる金属片やボルトが散乱していたという。
犠牲者は22名、その中にはまだ幼い8歳の子供が含まれていた。負傷者は120人以上にものぼり、2005年のロンドン同時爆破テロに次ぐ死傷者数となった。

響き渡った歌声

その後市の中心部にて今回のテロの追悼式典が行われ、多くのマンチェスターの人々が集まった。傷つき、悲しみや怒り、それぞれの想いを胸に集まった人々は涙を流し、同じ体験を共有した人と慰めあい、突然何の落ち度もないのに命を奪われてしまった犠牲者たちに祈りを捧げた。

黙祷の静寂のあと、突然女性の歌声が響いた。
その声に突き動かされるかのように、集まった人達は共に歌い始め、大合唱となった。

そのメロディはオアシスの『Don't Look Back in Anger』だった。

オアシス『Don't Look Back in Anger』

世界で1番仲の悪い兄弟と言われることも多いマンチェスター出身のギャラガー兄弟が率いる伝説的イギリスのロックバンド『オアシス』。90年代後半の空前のブリットポップブームの牽引役だった。
独特の魅力ある声と歌い方、際立つカリスマ性を持つリードヴォーカルの弟リアムギャラガー、リードギターを担当し名曲を次々生み出す才能豊かなソングライターの兄ノエルギャラガーが送りだす音楽は、イギリスのみならず世界中の人々を魅了した。
2009年に突然の解散、8年たった今でも再結成を願う声は後を絶たない。

数多くのヒット曲を持つオアシスだが、その中での1,2を競う人気曲が『Don't Look Back in Anger』だ。

『Don't Look Back in Anger』はリードヴォーカルのリアムではなくギタリストのノエルが歌う全英シングルチャート1位を獲得した大ヒット曲。イギリス国民ならば知らない人はいないと言われ、第2のイギリス国歌という人も。オアシスのライヴはもちろん、オアシス解散後のノエルのソロ・プロジェクト、ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズのライヴでも必ず披露される。英語圏でない国でも観客は曲の最初から最後まで大合唱、サビはノエルが観客に譲ることがお約束なほどだ。

この曲を作曲、そして自ら歌っているノエルは『Don't Look Back in Anger』はファンとの絆を感じる曲だといい、もはや作曲者である自分の手を離れていろんな意味を持つようになったとインタビューで語っていた。

1995年、オアシスの2ndアルバム『モーニング・グローリー』内の収録曲として発表、翌1996年にシングルカットされたこの曲は約20年の時を経て、様々な人々の人生に寄り添ってきた。

悲しみを胸に

“怒りを持って振り返るな”と語りかけるこの曲をマンチェスターの人々は声を合わせて歌い、テロに打ちひしがれた人達を一つにした。

悲しみは決して尽きることはない。
その傷は決して癒えることはない。

それでも人々は歌うのだ。
『Don't Look Back in Anger』を。

これ以上悲しい連鎖はもう見たくはない。

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紫水晶
name. 紫水晶

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