HOLISTIC STYLE BOOK 富裕層向けメディアサイト

ボロい、でもそれがいい!「ラットロッド」

ダメージ加工の施されたデニム、家具をアンティーク調にする為のサビ加工など、世の中には物の劣化を一つの「味」として捉え、楽しむ文化があります。 車も例外ではなく、その様なカスタマイズ文化が存在します。 今回はボロ車カスタムの最高峰、ラットロッドについて紹介します。

ホットロッドの派生

「ホットロッド」という言葉は聞いた方もいるかも知れません。
アメリカ発祥のカスタマイズ文化で、主に1930年代の量産車のボディパーツなどを寄せ集め、そこに現代の高性能エンジンやサスペンションを搭載、さらにはフレイムペイントという火炎のような独特のペイント塗装を施したレース用途の車両のことを指します。

そのホットロッドから派生したのがラットロッド(RatRod)です。戦前の量産車の残骸を使用するところまでは一緒なのですが、新たに華やかな塗装を施すことはせず、あえて残骸だった状態を残したままにします。
その見た目はまるでネズミが住み着いてそう、というところからRatRodの呼び名が付けられました。

ベースとして使用される車

フォード・モデルT

1908年にフォード・モーターから発売され1927年まで生産された大衆車。「ティン・リジー」という愛称で呼ばれていました。
ティン・リジー(Tin Lizzie)は日本語でブリキのリジーという意味で、リジーというのは女性名「エリザベス」の愛称です。また、エリザベスは信頼できる使用人の俗語でもありました。
当時必要不可欠であった馬に代わる日常の足として仕えた車でした。

4気筒2.9リッター、20馬力のエンジンを搭載、シンプルな構造であったため車体重量は544kgと軽量でした。

フォード・モデルB

1932年の1年の間だけ発売されました。フォード・モデルAから続く2番目のモデルということで「デュース(Deuce)」という愛称が付いています。
当時、最先端技術であったV8エンジンが初めて大量生産され搭載されたモデルでもあります。
1973年に公開された映画「アメリカン・グラフィティ」の影響や1932年の1年限りの生産だったこともあり、希少性が高くホットロッドファンの間で圧倒的な人気を誇っています。
ラットカスタムのベースであるホットロッドを語る上で欠かせない存在でしょう。

余談ですが、2016年に解散したSMAPの草彅 剛さんはフォード・モデルBのロードスタータイプを所有していることで知られています。

フォード・F100

フォードが1948年から生産しているピックアップトラック。
2010年に1948年の生産開始からの累計生産台数は3390万台に達している。アメリカを代表する車であると共にピックアップトラックの代名詞的な車である。
1953年から1956年に生産された2代目は根強いファンが多くいます。
独特なボディからパンプキンの愛称で呼ばれています。

型にとらわれない自由なカスタマイズ

ラットロッドのベースとして使用される車を3車種紹介しましたが、ベース車両はクラシックカーである必要はありません。

あるマツダMX-5のオーナーの方は追突され変形してしまったボディを修理する代わりにMX-5をラットロッドにカスタマイズしてしまおうと考えました。
エンジンや駆動系、足回りはMX-5のものを、フロントグリルは1960年代のフォード車のフェンダーを流用し、ヘッドライトは1940年代のパッカード車から、内装は1970年代のモンテカルロのシートを使用するといった年式も車種も違う車から寄せ集めたパーツから構成されています。

ホットロッドやラットロッドは捨てられた車の残骸を寄せ集めて作った高性能車です。
パーツの互換性やネジの規格などを気にせず、自由な発想で自分だけのオリジナルカーを組み上げるところに楽しさがあるのです。

ラットロッドを扱う上で覚えておきたいこと

ラットロッドは非常に特殊な車両です。
ホットロッドやその系統のカスタマイズに精通しているカスタマイズショップを探しましょう。通常の整備工場やショップなどではオイル交換すら断られる可能性があります。
そして自分自身でオイル交換はもちろん、ミッションやエンジンのオーバーホールが出来るだけの整備技術と工具は必要でしょう。
何より大事なのは、どのようなマシントラブルに見舞われても動じない心です。カスタムカーにトラブルはつきものです。何が起きても冷静に対処できる、それどころかそれすら楽しめるゆとりある心を持ちましょう。

INTRODUCTION of THE WRITER

守屋空山
name. 守屋空山

RELATED

ダメージ加工の施されたデニム、家具をアンティーク調にする為のサビ加工など、世の中には物の劣化を一つの「味」として捉え、楽しむ文化があります。 車も例外ではなく、その様なカスタマイズ文化が存在します。 今回はボロ車カスタムの最高峰、ラットロッドについて紹介します。