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エべレスト登山の影武者「シェルパ」とは?

「そこに山があるから」。様々なリスクを背負ってでもエベレスト山頂を目指す人は後を絶ちません。その挑戦の舞台裏には命がけで挑戦者を支え、生活の糧にしている登山ガイド「シェルパ」の存在が不可欠なのです。

シェルパとは?

ネパールの少数民族のひとつ。

シェルパの居住地は、世界的な観光地であり、多くの一般観光客を相手に、1年を通してホテルなどの観光業が一大産業になっている。また、選ばれたごく少数のシェルパによるヒマラヤ登山支援も世界的に知られる。

20世紀後半以降、エベレストを始めとしたヒマラヤ登山が活発になり、海外から登山客、観光客が増えると、シェルパ側の現金収入の途も増えた。登山案内人の職は、ネパールの平均収入と比べて高収入であり、職を得るための競争は激しいが、死の危険も大きく1950年から2009年の間に224人以上のシェルパが命を落としている。

シェルパ=登山ガイトという図式が浸透した理由

シェルパの生活する地帯は寒冷な高地のため本格的な農業は難しく、長らく地場産業が乏しい環境でした。

20世紀に入り外国人のヒマラヤ登山が始まると、シェルパは高地に順応した身体を買われて荷物運び(ポーター)として雇われるようになります。そして次第に登山技術を磨いた彼らはガイドとして重用されるようになり、近年では彼ら無しではヒマラヤ登山は成立しないとまで言われる存在になっていったのです。

彼らの側にも十分な教育を受けることもままならず、他の職に就くことが難しいという事情があり、危険な仕事を請け負っている事情があるのです。

多くのシェルパの犠牲によって支えられている観光産業

世界最高峰エベレスト(8848メートル)の登山ルートで18日、ネパール人ガイドらが雪崩に巻き込まれ、12人が死亡、4人が行方不明となり、3人が負傷した。ネパール政府が発表した。死傷者と行方不明者の全員がネパール人。AP通信によると、エベレストで起きた過去最悪の遭難事故となった。

恐怖のデス・ゾーン

エベレスト級の登山には、特殊な対策が必要になります。気圧が薄く、酸素が少ない状況になると人間の身体は十分なパフォーマンスを発揮することができません。そのような状況に体を慣らす高地順応と呼ばれる訓練を行い、血中の赤血球を増やして必要な酸素を体中に送り込む技術を学びます。

それでも8,000メートルを超えるレベルになると、もはや人間の体は順応することが不可能なため、通常このラインを「デス・ゾーン」と呼びます。その場所にいるだけで死へと近づくという意味です。可能な限り短い時間で一気に山頂アタックをかけ、安全なベースキャンプまで戻るというのがヒマラヤ登山の鉄則です。

シェルパの体を張ったプロ意識

エべレスト史上最悪の遭難事故と言われた2014年に起きた悲劇。亡くなった16名はすべてがシェルパだったのです。彼らはお金を払う雇用主がアタックを成功させるため、ベースキャンプと高地のキャンプを数十回と往復して酸素や食糧などの必要な物資を運搬します。

さらに先頭に立ち、安全を確かめ、ルートを作ることも請け負います。実際に山頂一歩手前までシェルパが先頭を歩き、最後の1歩を「どうぞ」と言ってアタッカーに譲るという徹底したサービス精神で雇用主に尽くすのだそうです。

自分の身を守るのも難しい極限の「デス・ゾーン」を職場として、雇用主に奉仕するシェルパ。想像を絶する厳しい仕事です。

シェルパの収入は?課題は?

ネパールは世界でも非常に貧しい国の1つであり、命がけの仕事である登山ガイドはネパールの平均収入から見れば桁外れな額なのだそうです。

貧しいネパールにとって、エベレストをはじめとする登山は重要な産業であることは間違いありません。しかし、近年ではシェルパの犠牲によって成り立っている「登山ブーム」による弊害は、ゴミ問題などと相まって問題視されるようになってきています。ストライキ運動などによりネパール政府が山を閉鎖するという騒動のニュースもありました。

シェルパ基金

アルピニストの野口健さんは、頂上を目指せるのはシェルパがいてくれるからこそであり、そのシェルパを決して使い捨てにしてはいけないと、2000年に「シェルパ基金」を設立しました。

シェルパ基金公式HP
http://www.actions.jp/syerupa.html

シェルパ基金はシェルパ(他民族も含む)が山で遭難死したり、また下山後に高度障害の後遺症により死亡したシェルパの遺児達の教育費を負担することが主な目的としています。

今後は遺児の教育以外にも、後遺症があるシェルパの復帰訓練、山間部への学校設立などを徐々に活動を広げていきます。

まとめ

世界的な登山ブームやネパールの経済問題などの複雑な事情が絡み合い、エベレスト登山が観光産業として肥大化した昨今。お金を出せば比較的楽に挑戦できるという一部の登山者のモラルの低さにより使い捨てのように扱われているシェルパの実態なども報道されています。

登山ルートは渋滞を起こす程の人気とも言われるエベレスト。大いなる自然と、そこに息づく人々の暮らしを尊重する気持ちを忘れたくないものです。

INTRODUCTION of THE WRITER

takuan1
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40代の主婦です。
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