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【厳選5本】スタイリッシュな狂気の映像美! 映像作家ジョナサン・グレイザーのPV特集

英国生まれの映像作家、ジョナサン・グレイザーのプロモーションヴィデオ作品をご紹介いたします。 彼の作る映像は、ミュージシャンの作り出す音楽とのつながり方が非常にわかりやすく、イメージし易いのが特徴です。 そしてその分かりやすいイメージは、音楽家の持つ狂気のヴィジョンをスタイリッシュに描くことにより、グロテスクな現実を、よりカジュアルにイメージ化することを可能にしています。

ジョナサン・グレイザーについて

ジョナサン・グレイザー(Jonathan Glazer)は1965年3月26日、イギリスのロンドンに生まれました。
ノッティンガム・トレント大学を卒業後、多くのCM作品やミュージックヴィデオの演出を手掛けた後、2000年には長編映画の「セクシー・ビースト(Sexy Beast)」で映画監督デビューを果たしました。そして、2004年にはニコール・キッドマン(Nicole Mary Kidman)を主役に迎えた「記憶の棘(Birth)」を制作。
この作品は、第61回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に出品され、主演をしたニコール・キッドマンはヴェネツィア国際映画祭の女優賞にノミネートされました。
その後、2013年には9年ぶりにSF長編映画「アンダー・ザ・スキン 種の捕食(Under The Skin)」を発表しました。この映画では主演のスカーレット・ヨハンソン(Scarlett Johansson)が美しきエイリアンを演じています。この作品は第70回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で上映されて、賛否両論を巻き起こしました。

UNKLE「Rabbit in Your Headlights」

UNKLE(アンクル)は、イギリスのDJ,プロデューサーのジェームス・ラベル(James Lavelle)の音楽プロジェクトです。若干19歳で自身のレーベル「Mo'Wax(モ・ワックス)」を設立をしたジェームス・ラベルは、このレーベルからDJ Shadow(DJシャドウ)やDJ KRUSH(DJクラッシュ)等多くのミュージシャンを輩出しました。ファーストアルバム「Psyence Fiction(サイエンス・フィクション)」にはThe Verve(ザ・ヴァーヴ)のRichard Ashcroft(リチャード・アシュクロフト)が参加をしています。その後Rich File(リチャード・ファイル)が正式に加入をしましたが2008年には脱退をしました。

「Rabbit in your Headlights」はUNKLEのファーストアルバム「Psyence Fiction(サイエンス・フィクション)」に収録された作品です。
プロデューサーはジェームス・ラベル、音楽プロデューサーはDJ Shadow。ボーカルにはRadiohead(レディオヘッド)のトム・ヨーク(Thom Yorke)を迎えて、制作されました。
トム・ヨークのダルなボーカルをバックグラウンドに独り言を言い続ける男。何度も自動車に追突されながら、何故か立ち上がる男の姿が見ている人を不安にさせます。
この男性を演じているのは映画監督Leon Carax(レオン・カラックス)の映画「Boy Meets Girl(ボーイ・ミーツ・ガール)」「Mauvais sang(汚れた血)」「Les Amants du Pont-Neuf(ポンヌフの恋人)」で主演を務めたDenis Lavant(ドニ・ラヴァン)です。

Jamiroquai「Virtual Insanity」

Jamiroquai(ジャミロクワイ)はボーカルを担当するジェイ・ケイ(Jason Kay)がリーダーのアシッド・ジャズ・バンドです。一見フロントマン、ジェイ・ケイのソロ・プロジェクトに見えてしまいますが、実際にはきちんとしたバンドです。

「Virtual Insanity」はJamiroquaiのサード・アルバム「トラベリング・ウィズアウト・ムービング~ジャミロクワイと旅に出よう~(Travelling Without Moving)」に収録された曲です。この曲は日本でもコマーシャルにも起用されました。
ジャズ・ファンク風のメロディーが魅力の曲です。ジェイ・ケイが動く床に戯れながら歌い、踊る姿が映されています。
この床は実際には動いていないで、壁の方を30人以上のスタッフが動かしていたそうです。映像の方はもし、ジェイ・ケイが本当に動く床の上で歌い、踊っているにしては、自然過ぎます。
その踊りの自然さと床が動いていると思わせる錯覚が、この曲のタイトル「Virtual Insanity(仮想狂気)」とつながり、ナチュラルな狂気は人が理解する以上全て脳の仮想なのではないか、といった根源的な疑問へとたどり着かせるイメージのデザイン思考が素晴らしいです。
このPVはその年のMTV video awardsで4部門を受賞しました。

Massive Attack「Karmacoma」

Massive Attack(マッシブ・アタック)はイギリスのブリストル出身の音楽ユニットです。ヒップ・ホップ、レゲエを中心にしてジャズ、ソウル、ロックなどを取り入れたダンス・ミュージックを沢山発表しています。
レゲエの持つ「レベル・ミュージック」のニュアンスとトリップ・ホップのニュアンスが足しあい、かけ合いことで、現実を浮遊しながら、それに抵抗しようとする音楽の魅力を放つデジタル・クラブ・ミュージックの新機軸をつくりました。
メンバーはグラント・マーシャル(ダディ・D)、グラント・マーシャル(ダディ・G)、ロバート・ネル・ナジャ(3D),アンドリュー・ヴォウルズです。

「Karmacoma(カルマコマ)」はセカンド・アルバム「protection(プロテクション)」に収録されています。この曲はMassivie Aattackの前進バンドだった準レギュラーだった「Wild bunch(ワイルド・バンチ)のTricky(トリッキー)が参加しています。
ダルな曲調とポエトリー・リーディング風のボーカルスタイルが魅力です。ホテルの一夜の悪夢のイメージがつながる作品。グロテスクな現実が一見関係なさそうな人間関係と共に伝えながら、その狭い世界の中で事件が起こるが、ほとんどつながりが見えない。最後まで見えないつながりから曲のコーラスの部分の「Karumacoma」とあっていて、非常に魅力的です。

Blur「The Universal」

Blur(ブラー)はイギリスのオルタネイティブ・ロック・バンドです。90年代に隆盛したブリット・ポップ・ムーブメントの代表的バンドとして、一躍人気バンドとなりました。ムーブメントの終焉後も、多彩な音楽性を発揮しながら、独創的な音楽活動を行っています。
フロントマンのDamon Albarn(デーモン・アルバーン)は1998年からコミック・アーティストのJami Christopher Hewlett(ジェイミー・ヒューレット)とともにバーチャル覆面プロジェクト「ゴリラズ(Gorillaz」の活動を始めました。
また、ギタリストのGraham Coxon(グレアム・コクソン)は1998年にソロ活動を開始して、2003年にはデーモン・アルバーンと音楽性の相違のため、バンドを脱退して、ソロ活動に専念していましたが、2009年には復帰をしています。

「The Universal(ユニバーサル)」は4thアルバムの「The Great Escape(ザ・グレート・エスケープ)」に収録された作品です。曲調は壮大なバラード調で、深い諦観を歌っています。
Stanley Kubrick(スタンリー・キューブリック)監督の近未来映画「時計じかけのオレンジ(A Clockwork Orange)」のオマージュともいうべき映像(デーモン・アルバーンが主人公のアレックスと同じメイクをしている)がスタイリッシュに表現されています。
「時計じかけのオレンジ」の発表は1971年ですが、この映画のイメージ自体は、24年たった後のロック・バンドのPVのモチーフに使われながら、まったく色褪せない諦観を感じさせられます。
これはBlurの才能なのか、ジョナサン・グレイザーの才能なのか、スタンリー・キューブリックの呪いなのか。
今見ても、人間が生む社会の持つ歪みの構造を描きつくしたイメージはとても素晴らしく、吐き気を催すほど美しいと感じるのは私だけでしょうか。

The Dead Weather「Treat Me Like Your Mother」

The Dead Weather(ザ・デッド・ウェザー)はThe White Stripes(ザ・ホワイト・ストライプス)のJack White(ジャック・ホワイト)とThe Kills(ザ・キルズ)のAlison Mosshart(アリソン・モスハート)が中心になって結成されました。
ガレージ・ロックを中心とした音楽とアリソン・モスハートのボーカルが魅力のバンドです。

「Treat Me Like Your Mother(トリート・ミー・ライク・ユア・マザー)」はデビューアルバム「Horehound(邦題:狂おしき薫り)」に収録されてます。
この曲の歌詞はボーカルのアリソン・モスハートを1時間程度でほとんど書きあげて、すぐにでも録音に入れる状態になったそうです。
映像は男性(ジャック・ホワイト)と女性(アリソン・モスハート)が住宅街を背景にした荒地の中で、ギターの代わりにマシンガンを持ち、互いに打ちまくるというシンプルなものです。
お互いの銃弾に打たれ、弾丸がいくつも体を貫通しながら、マシンガンの球が切れるまで打ち合う二人。結局二人とも倒れずに、男の方が立ち去っていきます。
ゾンビ同士の戦闘のようにも感じられますが、死さえも恐れないというよりも、死なない≒死ねないことと、それを受け入れている空虚感漂う作品です。
実際にはあり得ない映像ですが、ロック自体が、黒人の作り出したブルーズからの影響から抜けられないように、ロックの思想の持つアフリカや音楽の本質にたどり着こうとする意志とイメージが感じられます。

まとめ

今回は5つの映像作品を紹介いたしました。
ジョナサン・グレイザーの映像のセンスが感じられたと思うのですが、如何。
イギリスの同時代のロック・バンドへ信頼感があるからこそ、彼は多くのプロモーションヴィデオを製作して、それらの映像は高いクオリティを誇っているのではないでしょうか。
そして、彼のイマジネーションがスタイリッシュであるのは90年代のなかでロック・ミュージックが商業主義と戦いと敗北、そしてそこから産まれた新たな自己表現と関係あるのは否めないでしょう。
たまの休暇に、ジョナサン・グレイザーの映像をご覧になってはいかがでしょうか。

INTRODUCTION of THE WRITER

家出猫町
name. 家出猫町
家出をして猫町に住みたい。

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